エアロヘルメットって実際どうなの？【S-Works EvadeⅡレビュー】

結果から言えばエアロヘルメットは「たぶん」速くなる。EVADEはスペシャライズド社での風洞実験はもちろん、Cycling Weeklyによる他社を含めたエアロヘルメットの比較でもその空力性能の高さを示した。なぜ「たぶん」なのかは後述するが、研究や実験により効果が確かなのは事実だ。

空気抵抗は速度が上がればその分大きくなるので、速い速度であるほど有効だ。レースに出たり、自分の決めた区間でタイムアタックしたりする人にはこだわるべきアイテムかもしれない。

実際に使用して感じたこと
エアロヘルメットは買いなのか

実際に使用して感じたこと

では実際に使ってみてどうなのか。僕自身はプロでもないし、実業団レーサーでもない一般ホビーサイクリストである。【一般ホビーサイクリスト】がエアロヘルメットを使用した時にどう感じたのかを書いてみたい。(先に伝えておくと安全性はMIPS搭載で間違いないです)

①エアロ性能は感じられるか？

巡航速度が上がった！…なんてことは体感ではわからない。被っただけで劇的に速くなるわけではない。先程【たぶん】とつけたのは速度の変化の体感は難しいからだ。ただ被っていて「お！！」と思ったのは明らかに風の音が減ったこと。走っていて耳に入るボォーというような風の音が明らかに減った。絶対に気のせいではないと断言できる。ちなみに僕が元々使っていたのはKASKのヴァレグロというモデルで、軽量ヘルメットの立ち位置だ。EVADEのようなエアロヘルメットと異なりエアフローが多くある。通気性は良いのだが、明らかにエアロっぽくはない。その形状から空気をモロに受け止めるようにぶつかるのでボォーっという空気のぶつかる音がするのだと思う。

EVADEというヘルメットを被ると急にその音がなくなる。空気がぶつかる音がしなくなるのは、空気が後ろに流れ、ぶつからなくなったからではないか。つまり空気抵抗が減っているのだと思う。

②快適性はどうか

一言で言うと悪くはなかった。重量はMサイズで実測約300gだった。ヴァレグロはかなり軽量な分、やはり少しだけ重く感じるが被るとさほど気にならない。気になるヘルメットは重量がどこかに偏っているからか、肩や首が凝りやすい。EVADEはそんなふうには感じなかった。BOAダイアルを締めたときのフィット感は、正直すごく良くはない。決して悪いわけではなく、良い方ではある。ただkabutoのイザナギを体験するとどのヘルメットも少しだけ残念に感じてしまう。イザナギが頭全体をふわっと包んでくれる締まり方だとすれば、EVADEは一本のラインで締まるイメージ。ただヘルメット内部のクッションがふわっとする分トータルの感覚で被った時の快適性は良い印象だった。

もう一つエアロヘルメットとして気になるのは、通気性だ。スペシャライズドのホームページを見ると、「何も被ってないのと等しいくらいの涼しい」と書いてある。

…さすがにそんなことはない。。熱はこもるはこもる。ただ秋、冬の気温では気になる程ではなかった。ヘルメットを脱いだときに「あー、汗かいてたんだ」と気付く程度。ただヴァレグロよりもずっと汗が増えるのでやはりエアロヘルメットは熱がこもるのだと思う。事前に他社のエアロヘルメットを使っている方の話ほどは気にならなかったので、EVADEは通気性も優れている方なのかもしれない。

ただ一つだけ言えるのは冬はちょっとくらい熱こもる方が暖かいよね…ということ。秋、冬に暖かさのおまけがついてくるのは嬉しい。(がっつり夏の気温では使わないかもしれない。)

総合的に見れば快適性や軽量を売りにしているモデルと比較して、劣ってしまうのは当たり前だ。そもそもそこで勝負していないのだから。ただ快適性を犠牲にしたと言うわけではなく「これなら大丈夫！」と頷ける快適性を、エアロ性能と共存させたのは素晴らしいと思う。

③細かいポイントで気になったこと

良い点ばかりだが、ヘルメットの装着する紐につくバックルがマグネット式でハメやすい。ヘルメットの前面につくパッドが、額から汗が溢れる事を防いでくれる。アイウェアを挿した時に安定する。などなど使っていて「あーこれはいいね」と思う点が多い。

個人的な意見でデメリットを挙げるとすれば、このヘルメットの推しであるANGIというシステムが有料のサービスであることと、このセンサーが付属する事で値段がグッと高くなったことだ。万が一を考えた安全性は確かに重要だと思う。事故が起こった時にそれを検出し家族に自動で連絡をしてくれるセンサーがヘルメットに付いているのは革新的だとも思う。ただGARMINのサイクルコンピュータにも事故検出機能があるので僕はそちらを使う。できればANGIなしでコストを抑えたEVADEも出して欲しかった。