Long Slow Distance、(以下LSD)はロードバイクのトレーニングでよく用いられる。
言葉の通り、簡単に言えば長い距離をゆっくり走るというものだ。具体的な強度は、僕は書籍を参考にして行うようにしている。が、実際に一緒に走ったことのある人達の話を聞くとバラバラだ。明確な強度の定義はなく、あくまでも「その人にとって」長い距離をゆっくり走るで良いのかなと思う。50kmが長い人もいれば、200kmでやっと満足のいく剛脚もいる。
個人的に行なっている強度は、心拍数で最大心拍数の60〜75%程度、パワーで言えばL2 。どちらもない場合は、主観的運動強度で楽〜少しだけきつい程度。
生理学的な効果で言えば末梢毛細血管の発達、ミトコンドリアの増大、心臓血管系の機能向上、筋肉のグリコーゲン含有量増加などなどたくさん効果があるらしい。
実際にLSDは今までやり続けていたが、個人的にやっぱり大事だと感じた。ベース作りは大事なんていうがまさにその通りだとやっと分かるようになった。長い時間走る練習をしていないと、スタミナ的なところが弱くなる。レース前にさぁ乗り込むぞと思っても、スタミナがないと乗り込むことができない。
そしてLSDでは先に述べたフィジカル的な要素に加えて、別の要素からの成長も得られた。それは一つの意識の仕方で変わる。
「どうやって身体を使うか」
ただそれを意識して走るだけ。ペダリングの際に使用する筋肉の場所を意識して走るだけでもいい。上半身を脱力する様に意識しても良いし、肩甲骨の使い方や、体幹の使い方を意識してもいい。ただそうして身体の使い方に意識を向けるだけで、フィジカル的にもテクニカル的にも大きなメリットが個人的にはあった。
身体の使い方を意識して走るには確実にLSDが良い。(すでに上級者は除く)
高強度で身体の使い方を意識するのはすごく難しいからだ。ただでさえ辛い高強度で細かいところに気をつけて走ることは難しい。それよりも考える余裕のある低い強度で身体の使い方を意識しながら走る方がペダリングの改善につながる。
ケイデンスが70rpmぐらいならこういうふうに身体を使うと走りやすい。でも90rpmになるとここの筋肉が使えてないなとか、
背骨の腰の高さを曲げるのか、股関節から曲げるのか、
顎を引いてとか、脇を閉めてとか、
ハンドルに体重がかからないようにとか、踏み脚を0時からとか、
例を挙げててもキリがないくらい意識するところはたくさんある。
運動学習の科学的な捉え方はいくつかあるが、その中の一つで見ると
まずは運動の要素を言葉にして(頭の中で意識して)行う。そして繰り返し行なっているうちに無意識に行えるようになる。
ペダリングも同じで、走り方を意識して繰り返すうちに、それが自然に行えるようになってくる。
LSDで毛細血管がどうとかだけでなく、「身体の使い方を意識して」走ることがペダリングの幅を広げたり、効率を上げたりすることに繋がった。少なくとも僕はそうだった。
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